コロナ大仏造立

大仏造立への想い

 

 現在、世界中の人々が目に見えないウィルスの恐怖に苛まれ、先行きの見えない経済危機に対して不安を抱えています。しかし今、何よりも怖いのは、ウィルスそのものではありません。みんながストレスに押しつぶされ、近しい人をも忌避し攻撃してしまうことです。この停滞した状況下で「誰でもが参加できる前向きなアクション」を起こせないかと考え、新型コロナウィルスにまつわる全ての不安や怒りを浄化し、新型コロナウィルスの収束を願い、みんなのエネルギーを未来へ向け、祈るための対象として大仏を作りたいと思いました。

 

 古来日本では、大きな疫病や飢饉/ 災害が蔓延すると、祈願のために巨大な仏像を造立しました。そこには勧進聖(かんじんひじり)と呼ばれた僧侶が活躍し、行脚して資金を集めていたのです。 行基、空海を初めとした聖たちは仏像建立/ 再建にとどまらず、あらゆる公共事業をプロデュースし、実現させました。疫病が流行した遠い時代の人々の心は想像することしかできませんが、きっと今と同じような心の分断が起こっていたのだと思います。そんな時に、みんなで力を合わせて巨大な大仏を作ろうと協力し、邁進する。昔の日本にとって仏教の役割とは、人々のエネルギーを集約し、前向きに転化させる「プリズム」のような存在だったのではないかと思うのです。

 

 日本で新型コロナウィルス感染者が出てからもう半年。コロナ禍の影響によって自分でも気づかぬうちに不安を抱えてしまい、zoomで久々に顔をみた友人と会話をしていると、なぜだか急に涙が溢れてきます。東日本大震災の時も、僕たちは、ただただ呆然自失し、自粛をすることで心の整理をしようと試みました。その喪失感は9年たった今、本当に払拭されているのでしょうか。一方、新型コロナウィルスがもたらした社会の変化、そこから見えてきた本来は変わるべきだった慣習が更新されたことで、新たな希望を見出している方も多いかと思います。

 

 しかし、僕たち日本人は何故だか、いろんなことを「忘れてしまう」のです。東大寺の大仏が、災害や疫病を乗り越えるために建てられたことも、忘れかけていました。それでも「天平の大仏」という存在が、なんとか残されてきたことによって僕たちは、1300年[前]の過去の日本人と、今の自分を重ね合わせることができます。

 

 ここでもう一度新たな「令和の大仏」をつくることによって、僕たちはきっと、1300年[後]の未来の日本人とも、つながることができます。そして未来の日本人にとっても、「令和の大仏」を経由して、2600年[前]の「天平の大仏」にまで、つながることができるのです。

 

 つまり「大仏」は、日本人の記憶装置なのです。僕たちが今感じている複雑な想いを、未来の日本人に残さなくてはいけません。どうかこの、大きな時間軸をつなぐための「大仏造立」に力を貸してください。
何卒、プロジェクトへの応援を宜しくお願いいたします。